「性虐待被害者のための祈りと償いの日」について

新潟教区の皆様

「性虐待被害者のための祈りと償いの日」について

 2016年に教皇フランシスコは、毎年特定の日を「性虐待被害者のための祈りと償いの日」として定め、祈り、償い、被害者の痛みを学ぶ機会とするよう呼びかけました。日本の司教団は、毎年四旬節の第2金曜日を「性虐待被害者のための祈りと償いの日」と定め、2017年からこれを実施しています。今年は3月18日がこの日に当たります。新潟教区としては、以下の4点を実施していきたいと考えておりますので、各小教区、修道院での対応をお願いいたします。

1.「カトリック新潟教区ハラスメント防止宣言」を四旬節の間教会に掲示してください。

2.3月18日直前、または直後の日曜日に、教皇の意向に従いすべての小教区と修道院でミサを捧げてください。
なお、奉献文は「ゆるしの奉献文」を用いてください。そして、「カトリック新潟教区ハラスメント防止宣言」を一緒に唱えて下さい。

3.ミサの前後、または最中に教皇庁児童を守るための委員会作成の祈りを唱えてください。

4.ハラスメント相談窓口のカードが教会の誰もが手に取ることのできる場所に常時おいてあることを確認してください。

 わたしたちは昨年の10月、シノドスの歩みを始めました。誰と、どのように、何のためにともに歩むのか?各共同体で分かち合いをしてこられたことと思います。ともに歩むために欠かすことができないのが、立場や年齢、出身や性別にとらわれない互いへの尊敬、尊重、また、誰もが分かち合うことができ、互いに耳を傾け合う姿勢です。性虐待に限らず、多くのハラスメントは互いへの尊敬の欠如、自由に発言できない人間関係から生まれます。弱く、小さくされた人々の叫びに敏感に耳を傾けられたイエスに倣い、わたしたち新潟教区でも一人ひとりが大切にされる共同体として成長していきましょう。

 日本の司教団は昨年、それまでのガイドラインを大幅に改訂し、「未成年者と弱い立場におかれている成人の保護のためのガイドライン」を発表しました。このガイドラインは対象を「教会で宣教や司牧に携わるすべての人」、つまり司祭や修道者だけでなく、教会関連施設で奉仕するすべての職員やボランティアに広げています。一人ひとりが、この問題を自分自身のこと、自分の教会共同体のこととして捉えてくださるよう、お願いします。

 なお、新潟教区では3月18日より、セクシャル・ハラスメントに関する意識調査を行います。多くの方に参加していただき、この問題についての意識を高めていただけたらと願っています。どうぞよろしくお願いいたします。

  2022年3月3日

新潟教区 司教
パウロ 成井大介


「性虐待被害者のための祈りと償いの日」教皇の意向

1.教会のメンバーによって、また家庭や教育現場において行われた、子どもへの性虐待の罪について、神からのゆるしを願うこと。

2.これらの重大な犯罪が、教会のメンバーによって行われたことを公に認めること。

3.教会の権威者たちが、虐待の加害者を秘匿し、被害者の痛みを無視した罪について、神のゆるしを願うこと。

4.被害者のケアをする責任は、教会のメンバーとしてすべての人におよぶことを、皆が認識できるよう恵みを願うこと。

5.被害者とその家族のために神のいやしと支えを願い、教会がその人々の内的いやしと和解の歩みに有効に寄り添うことができるよう祈ること。

6.虐待の被害者から何らかの反応があった場合、特別な司牧的な配慮をもってすぐに応えるようにすること。

 

共同祈願例文(カトリック中央協議会 子どもと女性の権利擁護のためのデスクの祈り参照)

  • いつくしみの主である神よ、教会に集う私たちが、被害に遭われた方の痛みに寄り添い、共に癒しの道を歩めるよう導いてください。
  • 加害者が謙虚にその過ちを認め、被害に遭われた方とその家族に誠実に謝罪することができるよう、光と力をお与えください。
  • 仕えるために来られたキリストに従い、人々への奉仕の道を歩むことを選んだ聖職者たちが、その使命を全うすることができるよう導いてください。
  • 神の民である私たちが良心に目覚め、弱い立場におかれている子どもや大人を守り、連帯し、キリストの福音を告げる使命を全うすることができますように。
  • 司教、司祭、修道者、信徒すべてが、キリストに結ばれた共同体として、互いの尊敬のうちに歩んでいくことができますように。

 性的虐待被害者のための祈り(教皇庁児童を守るための委員会 新潟教区試訳)

 天の父よ、あなたは、あなたのすべての子どもたち、特に最も小さく弱い子どもたちを愛し、心にかけておられます。性的虐待を受け、信頼と純真の心を傷つけられてしまった、自分を守ることのできない多くの子どもと大人たちをあなたに委ねます。私たちが彼ら、彼女らの苦しみの叫びに耳を傾け、損なわれた多くの人生に寄り添い、責任ある行動を取っていくことができますように。

 被害を受けた方々が、仲間や家族からの理解と支えを受け、あなたの恵みによって傷が癒やされ、平安に生きることができますように。

 聖霊の交わりの中で、あなたとともに世々に生き、罪を除いて私たちと同じ弱さを身にまとわれた御子、私たちの主、イエス・キリストによって。アーメン。

 


カトリック新潟教区ハラスメント防止宣言

 私たちカトリック新潟教区は、神からの賜物であるいのちを与えられたかけがえのない存在として、すべての人はその人格の尊厳が尊ばれることを深く認識し、あらゆる形のハラスメントによって、他の人の人権を侵害する言動を行わないことを決意します。またハラスメントを防止するための配慮と不断の努力を行うことを宣言します。

 カトリック教会にあって、とりわけ聖職者には、いのちを守るために最善を尽くす義務があります。残念ながら、その模範たるべき聖職者が、ハラスメントの中でも、特に性虐待という他者の人格を辱め蹂躙する行為におよび、いのちの尊厳をおとしめる事例が多数あることが明らかになっています。なかでも保護を必要とする未成年者に対する性虐待という、卑劣な行為を行った聖職者も存在しています。

 加えて司教をはじめとした教会の責任者が、聖職者の加害行為を隠蔽した事例も、世界各地で多数指摘されています。

 日本の教会も例外ではなく、聖職者から性的な虐待を受けた事例があります。とりわけ被害者が未成年や子どもであった場合、深い苦しみと大きな葛藤のなかで、何十年も経ってからはじめて、その事実を公にできたという方もおられます。

 そのような深い苦しみと大きな葛藤を長年にわたって強いてきた聖職者の加害について、被害を受けられた皆様に、心からお詫びいたします。

 新潟教区では、2012年11月に宗教法人としての「ハラスメント防止基本宣言」を策定し、その後2017年に、「教区ハラスメント対応委員会」を発足させました。さらに準備を進めて、2019年に相談のための窓口を設置いたしました。

 わたしたちは、すべてのいのち、とりわけ弱い立場にある人々を大切にする教会共同体の実現を目指して、防止と啓発の取り組みを続けます。

 

「性虐待被害者のための祈りと償いの日」について 3ページ(印刷用)