2022年ラウダート・シ週間について

2022年5月9日

カトリック新潟教区の皆様

 2015年5月24日に教皇フランシスコの回勅、「ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に」が発表されて7年が経とうとしています。2020年、発表5周年を記念し、世界の教会は5月24日前後の一週間を、「ラウダート・シ週間」として祝い、以来これが毎年続いています。今年の「ラウダート・シ週間」は5月22日から29日までで、菊地功司教協議会会長が談話を発表されました。お送りしますのでご一読ください。

 皆様の教会、修道院や個人の生活環境の中で、身近なラウダート・シ目標に取り組んでくださるようお願いします。

カトリック新潟教区 司教
パウロ 成井大介


日本カトリック司教協議会 会長談話

ともに耳を傾け、ともに歩もう

~2022年ラウダート・シ週間にあたって~
(2022年5月22日~29日)

 

 教皇フランシスコは、2015年5月に回勅「ラウダート・シ ともに暮らす家を大切に」を発表され、全世界に向けて、「わたしたち皆がともに暮らす家」を大切に守るという視点から、エコロジーの様々な課題に総合的に取り組むことを呼びかけられました。すべての被造物は互いにすべてつながっているがために、互いの調和のうちに生きていく道を探ることの重要性を教皇様は強調され、教会全体としてこの課題に取り組むように求めておられます。

 日本の司教団は、2019年11月の教皇訪日を受けて、教皇フランシスコが日本から世界に向けて発信されたさまざまなメッセージを具体的に生きていくために、訪日のテーマである「すべてのいのちを守るため」を深め、黙想し、祈り、行動するために、特別な期間を設けることにしました。そこで毎年9月1日~10月4日を、「すべてのいのちを守るための月間」として、昨年からその取り組みを始めました。「ラウダート・シ」に記されたメッセージこそ、教皇が日本から世界に向けて語られた、賜物であるいのちへの強い思いを具体化するものだからです。

 同時に司教団は、環境問題へさらに真摯に取り組むため、取り組みの方向性と理解を包括的に示す文書を作成し、現在、書籍として出版する準備を進め、その具体的な活動についても検討を続けています。

 世界の教会に目を向けると、2015年の回勅発表直後に、それまで環境問題に取り組んできたネットワークが発展して、「ラウダート・シ運動」が結成されました。同運動は、教皇庁人間開発のための部署と協働し、毎年、回勅の発表された5月24日前後の一週間を、「ラウダート・シ週間」として、全世界の教会に啓発活動への取り組みを呼びかけています。

 今年の「ラウダート・シ週間」は5月22日から29日までとされ、そのテーマが、「ともに耳を傾け、ともに歩もう」とされています。「ともに」と言う呼びかけは、わたしたちが今シノドスの道程をともに歩んでいるからに他なりません。

 教皇フランシスコは回勅に、「皆がともに暮らす家を保護するという切迫した課題は、人類家族全体を一つにし、持続可能で総合的な発展を追求するという関心を含んでいます」(13項)と記されました。残念ながら、この数ヶ月、わたしたちはこの共通の家を争いの場としてしまいました。人類家族全体の一致は実現せず、共通の家に対する配慮は後回しにされています。

 世界各地の教会とともに、わたしたちもこの「ラウダート・シ週間」に、あらためて教皇様の回勅の呼びかけを学び、その中心的なテーマであるラウダート・シ目標への具体的な取り組みを強めて参りましょう。

 

ラウダート・シ目標(暫定訳)

1.地球の叫びへの応答
気候危機、生物多様性の消失、エコロジカルな持続可能性のいずれにも対処しつつ、すべての人が人間らしく生きるためにわたしたちがともに暮らす家を守るよう呼びかけます。

2.貧しい人々の叫びへの応答
その始めから終わりまでの人間のいのちと、地球上のあらゆる形態のいのちを守ることが求められていることを自覚し、エコロジカルな正義を推進するよう呼びかけます。

3.エコロジカルな経済
エコロジカルな経済は、経済というものが人間社会のサブシステムであり、人間社会は生物圏の一部であり、その生物圏はわたしたちがともに暮らす家であることを認識している経済です。

4.持続可能なライフスタイルの採用
知足という考えに基づいて、資源やエネルギーの節度ある使用を促進します。

5.エコロジカルな教育
エコロジカルな意識と変化をもたらす行動とを促進するために、インテグラルエコロジーの精神に基づいてカリキュラム改革や制度改革を見直し、デザインし直します。

6.エコロジカルな霊性
霊的生活がこの世の諸現実から切り離せないことを自覚し、「すべてのものの中に(被造界の美しさにも、病者のため息や苦しむ人々の呻きにも)神を見出す」ことを促すエコロジカルな回心は、エコロジカルな霊性をもたらす泉です。

7.地域社会のレジリエンスとエンパワーメント
さまざまなレベルにおける参加型活動を通して、地域社会とともに歩むことをめざします。

 

2022年5月6日
日本カトリック司教協議会 会長
菊地功

(英語ですが、「ラウダート・シ週間」についての詳しい情報は、こちらをご覧ください。
https://laudatosiweek.org/

 

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