司牧書簡 「神の望まれる教会共同体をめざして     -小教区の将来をともにつくるために-」

新潟教区の皆様

 神は今、教会に何を望んでおられるのでしょうか?
 わたしたちの望みではなく、神が教会に望むことです。うつり変わる社会に生きるわたしたちは、この問いを常に自分に問い続けることが大切です。
 宣教司牧方針にもあるとおり、教会の本質的な務めは、「宣教」、「典礼」、「愛の奉仕」です(回勅『神は愛』25)。2000年の歴史を通じて、また新潟教区においては、約400年前に多くのキリシタンが生きた時代、150年前に明治の再宣教後最初の洗礼が行われてから現在に至るまで、そしてこれからもずっと、宣教、典礼、愛の奉仕を、その時、その場で最もふさわしく行うことが、神が教会に望んでおられることの中心です。
 新潟教区は今、日本で最も早いスピードで進む人口減少をはじめとする様々な変化に直面しており、これまでのようにこれらの務めに取り組むことが難しくなってきています。

 

新潟教区の小教区の現状:

  1. 司祭、修道者、信徒の減少:教区全域において人口の減少が進み、それに伴って司祭、修道者、信徒も減少しており、今後もさらに減る見込み(なお、人口比では信者数は微増)。信者の減少よりも受洗者の減少が著しく多い。主日のミサでは聖堂の席に空きが目立つ。高齢信徒の様々な場面での貢献は共同体の大きな支えだが、後継者を見つけることが困難。会計などの役割を担当できる信徒がいなくなり、司祭が担当している小教区も増えている。青年信徒は少なく、多くの役割を任されとても忙しいが、互いにつながり、協力して特に子どもたちの信仰教育を支えている。司祭の減少により、ひとりの司祭が2から4の小教区を担当するようになり、司祭が教会共同体活動に関わる時間が減っている。また、司祭の高齢化と相まって、負担が大きくなっている。
  2. 外国籍信徒の動向:外国籍信徒が増加している。30年前に来日した方々から来たばかりの技能実習生まで様々。ミサで、祈りや朗読、聖歌、侍者などの奉仕をともにできるのは大きな喜び。半面、言葉や文化の違いから日本人信徒との交わりに困難を感じることも。また小教区評議会をともに形成しておられる方はわずか。なお、小教区のミサに参加する傍ら、小教区の枠を超えて、同じ国籍や言語のグループを形成し、活動している。
  3. 活動の縮小:宣教活動の取り組みがあまり見られない。また、信徒の高齢化に伴い、多くの教会で以前行われていたバザーや街頭募金、ボランティア活動といった社会活動などの対外的な活動が縮小してきている。特にコロナ禍以降は主日のミサを中心とした、教会共同体内部の活動が主になっている。
  4. 建物の老朽化:聖堂や信徒会館の老朽化が進んでいるが、修理の費用をまかなえない教会共同体が増える見込み。司祭が住まない教会が増えているため、建物の管理も難しくなってきた。返済が難しいため、教区の建設共済基金を利用する教会共同体が減っている。青年は、将来、少ない人数で教会を支えることができるか不安を持っている。
  5. 財政:教会維持費は減少、ミサ献金は増加の傾向にあるが、全体としては減少。ミサ献金増は、小教区で信徒籍台帳に登録していない外国籍信徒のミサ参加が増えているためと考えられる。
  6. 小教区の位置づけ:小教区の枠を超えて、近隣教会と合同で行う活動が増えている。月に一度の主日のミサに5名程度の参加者という小教区があるが、一般的には近隣小教区の巡回教会または集会所となるべき状況。

 教会における変化は、決して今だけ、特別に起こっているのではなく、これまでもありましたし、これからも起こり続けます。変化に対応し続けることで、教会は2000年の間福音を伝え続けてきたのです。このような状況にあって、私は皆様から、「個々の教会の力が小さくなってきており、将来が危ぶまれる。将来についてのビジョンを示してほしい」という声を何度も聞いてきました。「手遅れになる前に、具体的な改革を司教が決定し、それを教会共同体に通知してほしい」という意見や、「もう手遅れだ」という声すら聞きました。しかし私は、この社会と教会の変化への対応は、「神が自分たちの教会に何を望んでいるのか」ということを継続的に、すべての信者と関係者が自分事として、ともに祈りのうちに考えることなしには決して前に進まないと考えています。
 わたしはこの手紙で、新潟教区のお一人おひとりに対して、「神はあなたとあなたの教会に何を望んでいますか?」「その神の望みを、どうすればよりよく果たしていくことができると思いますか」と問いかけたいのです。その問いに、ご自分で、またご自分の教会共同体や、近隣教会、地区の人たちとともに考えていただきたいのです。
 そのための方向性を示すものとして、わたしは宣教司牧評議会、司祭評議会、地区協議会、司教顧問会などに相談したうえで、以下の通り新潟教区の小教区の将来をともにつくっていくための基本方針とそれに基づく取り組みを定めました。ともに取り組んでまいりましょう。
 なお、この方針と取り組みは、新潟教区宣教司牧方針に則ったものですので、宣教司牧方針の精神に基づいて進めてくださればと思います。

 

基本方針

  1. 各小教区の状況は、大きく、早く変化している。小教区は、これを「問題」としてではなくあくまで「変化」としてとらえ、常に変化に対応していく体制を整える。
  2. どうすれば教会共同体や建物を維持できるかではなく、神が教会に望まれること、すなわち教会の本質の三つの務めである宣教、典礼、愛の奉仕をよりよく行っていくためにどうすればよいのかを中心に考える。教会共同体と建物の維持のために教会があるのではない。なお、司祭や修道者だけが宣教、典礼、愛の奉仕を行うのではなく、すべての信者が自分事として、主体的に、またともに取り組む。
  3. 今のこと、自分のことだけではなく、次の世代、すなわち、子どもたちや、新しく洗礼を受ける人々、これから海外や国内から移住してくる人々が継続して三つの務めに取り組んでいくことができるよう計画する。
  4. これらの取り組みを、小教区として、また近隣教会、地区との協力のうちに行う。実施にあっては、小教区で完結するという考えにとらわれず、小教区の枠を超えて取り組む。

上記の基本方針を踏まえ、各小教区は以下に取り組んでください。

 

小教区、近隣教会、地区における具体的な取り組み:

1.各小教区で、信徒構成の推移、教会活動の推移、財政と建物の推移について資料(別紙参照)を作成し、将来にわたってふさわしく宣教、典礼、愛の奉仕に取り組むためにどうすべきか小教区評議会で検討する。

2.1. 地区協議会は、地区内のすべての小教区について、2ないし3教会のグループ編成案を作成し、司教に提出、司教は案を検討し編成を決定する。今後、さらなる司祭の減少が予想されるが、グループの教会を原則一人の主任司祭が兼任し、信徒同士も交わりを深め、教会活動を協力して行う。

2.2.また、地区協議会は地区内で必ず残すべき教会、合併すべき小教区、廃止すべき教会について検討し、司教に提案する。

2.3.地区協議会は地区に必要な司祭の数を検討し、司教に報告する。

3.年に一度は、グループ内の小教区合同の小教区評議会を行い、教会活動と財政や建物の将来性などについて、上記「基本方針」に基づいて話し合う。

4.教区養成委員会は、教会共同体が宣教、典礼、愛の奉仕に取り組むための組織づくりに関連する学びの場を提供する。

 

今後の流れ:

  1. 2027年中に各地区協議会にて上記「取り組み1、2.3」を検討し、司教に答申する。
  2. 各小教区では、2027年より、上記「取り組み1」を始める。
  3. 2028年より、グループ内の小教区が上記「取り組み3」を始める。
  4. 2029年8月末までに、各地区協議会は上記「取り組み2」を検討し、司教に答申する。
  5. 2029年11月の宣教司牧評議会にて、各地区からの報告を検討、評価する。

 神の御旨にしたがう人生の模範である聖母マリアの取り次ぎによって、わたしたちが神の望みをともに識別し、ともに実行していくことができますように。

2026年9月29日 三大天使の祝日

カトリック新潟教区
司教 パウロ成井大介


資料

小教区の合併について:

 この手紙では、小教区の合併も将来に向けた選択肢の一つとして挙げられていますが、誤解を招きやすいことなので解説します。小教区の合併には2つのケースがあります。

  1. 一つまたは複数の小教区が廃止され、他の一つの既存の小教区に統合される。この場合、「他の一つの既存の小教区」の名前で小教区が残され、廃止される小教区の区域が組み込まれる。(A小教区+B小教区=A小教区)
  2. 複数の小教区が廃止され、新しい一つの小教区が新しい名称で設立される。(A小教区+B小教区=C小教区)
  • いずれのケースにおいても、廃止される小教区の聖堂がそのまま残り、巡回教会や集会所として活用されることもある。また、廃止される小教区の聖堂が取り壊されても、近隣の信徒宅や地域の集会所などを利用して定期的に主日のミサが行われることもある。
  • 小教区の合併は、建物や区域の合併というよりは、むしろ共同体の合併という意識をより強く持つべき。複数の共同体が一つになることによって、より豊かに、より力強く教会の本質の三つの務めに取り組めるようになるための一つの手段。小教区の合併は、事情が許せば、数年にわたって共同体どうしが宣教司牧のために協力した後に行われるのが望ましい。

 

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小教区将来統計資料(PDF)

小教区分析フォームについて(PDF)

小教区分析フォーム「ダウンロードしてご利用ください」(Excel)